こっしーのリズム
古くからの音楽仲間「こっしー」こと宮腰渉が亡くなった。

ユニット同士共演したり、パーカッショ二ストとしてサポートしてもらったり、大切な作品のRECに参加してもらったり、プライベートでも大いに絡んだかけがえのない友達だ。
もう長いこと会ってなかったけど、彼ががんを患った経緯や、治療・闘病の状況は各種SNSで発信してくれていたので、いかに闘ってきたかはある程度知っていた。
特にFacebookでは常に明るくポジティブで、更新の度に自分の方が大いに励まされた。
「彼なら本当にがんに負けずに生き続けちゃうんじゃないか?」と常に思わせてくれた。
そんなお花畑な心持ちで訃報を受け取ったものだからまったく実感なくて「そうなのか」とだけ思った。
自分は近しい人が亡くなっても特に動じないタイプなのかな?と少し自身に失望するほど。
先日、ライブを見に行った。難しいことを考えず普通に楽しく見ていたのだけど、16シャッフルのリズミカルな曲がはじまり「カホンがあってもいいな」って、思った瞬間。彼が目の前のステージ上でカホンを叩く姿が浮かんだ。
楽器を邪魔しない、かつ演奏全体に調和して輝かせる、あの絶妙なグルーヴだ。
掌で叩くバスとスネアの間、薬指と小指を駆使して細かく刻むゴーストノート。
ニコニコキラキラと歌うように、叩いていた。
そのときにやっと、もういないってことがわかって、寂しくて悲しくて涙が出てきた。
そうだ、僕にとってリズムとは、カホンとは、彼だった。
彼の音が大好きだった。闘病記を読んで改めてその人間力に圧倒され、これぞ彼なのだと思った。
もちろん、努めてポジティブを発信していた側面はあるかもしれないが、自分が同じ立場だったら逆立ちしたってあんな前向きな言葉は出ないだろう。
ご家族曰く「ひとつひとつの呼吸をゆっくり丁寧に、最後の瞬間まで彼らしく生き切った」らしい。なんとも目に浮かぶようだ。
彼の音の輝きをいつも目指してきたが、自分もそんなふうに生き切りたいなって、目指したいものが増えた。
願わくばお互いヨボヨボの爺さんになって、ちょっと叩いてよ、ハモろうぜ、俺は何十年前に初めて叩いてもらった、おめぇのリズムを目指してやってきたんだよ、ぜんぜんできひんけど!なんて言って、そうなればよかった。
こっしー、君に会えてよかった。


